『カモメ通信1号』完成しました | せとうち観光専門職短期大学|業界最先端の学術と実務を学べる

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『カモメ通信1号』完成しました

創刊に際して

せとうち観光専門職短期大学が開学して、1年半が過ぎようとしています。
学生たちは、学内で授業を受けたり、大学を飛び出して企業内実習を頑張ったりと大忙しです。
ほかにも、アルバイトをしたり、瀬戸芸のボランティアへ行ったり、友達と遊んだり、産学連携のプロジェクトに参加したり…
今年は、初めての大学祭・青海波祭も開催されました。
このページでは、そんなせと短でのキャンパスライフについて、主に学生目線で紹介していきます。

旅行会社での実習体験記

 私たちは、「臨地実務実習Ⅱ」という企業内実習をおこなう授業で、株式会社穴吹トラベルで実習をさせていただきました。
 今回の実習では、主にツアー企画に携わりました。ターゲット層やお客様のニーズを考え、地元の高知県の食を活かしたツアーや、猫をテーマとしたツアーを作成しました。企画作成では、企画の発案、コースの組み立てなど、様々な工程がありますが、その中でも特に難しかったのはツアーのタイトル決めです。
 ツアータイトルは商品を販売する上でとても重要です。数ある商品の中からお客様に「参加したい」と思ってもらう必要があります。そのため、自分のツアーに対する思いや、行き先の情報を分かりやすくお客様に伝えることを意識し、印象に残るタイトルを作成することを心掛けました。結果、企画担当の方のサポートもあり、自分が伝えたい地域の魅力を発信できるようなツアータイトルで作成できたと感じています。
 最後に、この実習を通して感じた旅行会社での仕事のやりがいは、お客様が満足した姿を見ることができることだと思います。ツアーに参加された方からの「良かったよ」という声はとても嬉しく、今までにない達成感を感じることができました。
 臨地実務実習では、普段の学生生活では学べない貴重な社会経験を得ることができるため、就職に向けた取り組みにも活かせる体験だと思います。
(2年生・青木美礼、2年生・西みさと)

授業紹介

 私がこれまで受けた中で好きな授業は、田保先生の文化論です。この授業で、何を勉強したのかというと、一番は「文化」という言葉についてです。なんとなく理解していたこの言葉を、哲学者や思想家の考えをもとに自分の言葉にして表せることを、15回の授業で学びました。
 15回の授業で出てきた中で特に印象に残っている人物は、ジャン・ボードリヤールです。大まかに説明すると、ジャン・ボードリヤールとは、物を言語的な存在、つまり「記号」と捉え、消費社会を体系的に分析した代表的な社会学者です。どういったところが印象に残ったのかというと、この考え方で現代の消費社会を考えた時に、「記号」という捉え方をしたことで生まれる様々な差異に気づくことができたことです。
 例えば、違うメーカーの同じ商品で悩んでいた場合、何が購入の決め手となるでしょうか。このことを、記号的に捉えると、「ブランド」や、「有名人の持ち物」といった商品の性能以外の「記号」が購入の決め手となるのではないか、と別の理由を探すことができます。私は、この捉え方ができることを興味深いと思いました。
 このように、文化論を受けることによって、様々な捉え方で物事を理解することができる考え方を学ぶことができたため、私の好きな授業になりました。
(2年生・永田亮)

瀬戸芸とこえびと私

瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)は、瀬戸内海の12の島々と高松・宇野港を舞台に開催される、現代アートの祭典です。そんな瀬戸芸を支えるボランティアサポーター「こえび隊」を知っていますか。こえび隊は、作品の受付や作品制作、地域行事のお手伝いなど、幅広い活動を行っています。
 私は今回の瀬戸芸で、こえび隊の作品受付の活動に数多く参加しました。そこでは主に、鑑賞パスポートの確認や来場者数のカウントなどの受付業務を行いました。また、作品周りの掃除や、来場者への作品解説などもしていました。私は、このような活動を通じて、全国から来たお客さん、同じく全国から集ったこえび隊の方々、島の人やアーティストの方など、たくさんの人と出会いました。そして、人と関わることは楽しいと再認識でき、次第に自ら積極的なコミュニケーションがとれるようになりました。また、観光を学ぶものとして、瀬戸芸という現場を最前線で体感できたことも、大きな財産だと思っています。
 こえび隊は会期外でも活動しており、随時活動募集が行われています。公式ホームページより1日から参加でき、年齢制限もありません。みなさんぜひ、こえび隊として一緒に島に行きましょう。
(1年生・山田華)

茶文化研究サークル

 みなさんにお伺いします。お客様が自宅に来た際にどのようなにおもてなしをしますか?お客様の年齢、好物、アレルギーなどさまざまなことを考え内容を深めると思います。同世代の気のおけない友人をもてなすことは簡単でしょう、しかし自分よりも年上の方に対しては何をもってもてなすかを考えることが難しいと感じるかもしれません。
 さて、なぜ私がこのような問を投げかけたかといいますと、観光というものに関わりがある職業にはどうしてもサービスやおもてなしというものが大事になってきます。これから先、生活していく上で人をもてなすということをしないという人は恐らくいないのではないかと思います。そのときにもてなす手段のひとつとして、お茶を使用したもてなしの技を身につけられたらと思い、このサークルを設立しました。私たち7人は、月に一度のペースで、抹茶や紅茶といったさまざまなお茶と、それに合うお菓子について、自分たちなりに研究してきました。
 今年の学祭では、抹茶や紅茶と、そのお茶と季節にあったお茶菓子をお客様にご提供しました。サークル設立から、初めての学外からお越しのお客様に向けた催し物であり、至らぬ点も多くありましたが、お客様に「ありがとう」とお言葉をいただいたことは何よりも嬉しいことでした。私自身、このサークルを設立したことで、少しではありますが、さまざまなところに気がつくようになったように感じます。ときおり立ち寄る商店街で、和菓子屋さんに足を運ぶ機会が多くなったり、旬や季節により変わるお茶の味を楽しめたりなどなど、些細なことではありますが、良い変化が起こったと思っています。
 みなさんがこの学校を選ばれた際には、ぜひサークルに遊びに来ていただけたらと思います。
(2年生・今宮絢乃香)

先生の研究こぼれ話

 今回は、私の研究テーマの一つ、奈良のシカに関する研究を紹介します。この研究は、奈良県立大学の水谷知生先生と一緒に取り組んでいます。
近鉄奈良駅を降りると、人間社会にすっかり溶け込んでいるシカたちの姿が目に入ります。奈良に住んでいるとついつい麻痺してしまうのですが、世界的に見ても、野生動物があれほどの密度で人間と共生しているのは、かなり異様な光景です。
 この特殊な状況を目にして、例えばこんな疑問が浮かびます。奈良のシカは、なぜ地域住民や観光客相手に逃げないのだろう?そういえば、鹿せんべいっていつから売られているんだろう?いつからシカは、ガイドブックの中心に載るような観光資源として扱われるようになったのだろう?
 このような謎に対して、江戸時代の旅人が書いた道中日記や、明治時代の外国人旅行者による旅行記、大正時代の紀行文などを読んで、奈良のシカの観光的側面の歴史を解明しています。もちろん、書物と向き合うだけなく、鹿せんべい売りのおじさんにお話を聞かせてもらったり、鹿せんべい工場で焼きたての鹿せんべいを食べてみたり、若草山の鹿せんべい飛ばし大会に出場してみたりと、現地でもさまざまな経験を通して奈良のシカを理解しようとしています。この研究は、野生動物が観光資源となる過程や課題を探ることにもつながり、とてもやりがいを感じています。皆さんも、奈良に行くことがあれば、是非シカに会ってみてくださいね!
(助教・平侑子)

読書探訪

 みなさん、語学は好きですか?
「英語の時間が苦痛だった」「学校の授業で嫌いになった」という人もいるかもしれません。そこで、そのような皆さんに勇気と希望を与えてくれる本を紹介します。高野秀行さんの『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル)です。
 著者は世界の「辺境」を探検するノンフィクション作家で、ユーモアに満ちた著書を数多く出版なされています。本書では、その幾多の探検を通して会得した、いわば「サバイバル言語習得術」について書かれています。著者は、言語はRPG(ロールプレイング・ゲーム)における「魔法の剣」のようなものだと述べています。RPGでは「宝をゲットする」とか「姫を救い出す」といった目的を達成するために、事前の準備として武器や防具を整えたり、魔法を獲得したりします。さまざまな手段を駆使して困難を乗り越えるところに、ゲームの面白さがあります。著者にとっての困難や目的は、たとえばインドで盗まれた荷物を取り返すことだとか、コンゴで謎の生物を探すことだとか、ミャンマーでアヘンの材料になるケシの栽培体験をすることだとか、その時々によって異なりました。しかしどんな場合でも、その土地で使われる言語を習い覚え、使うことで、のたうち回りながらも著者は困難を乗り越え、目的を達成していったのです。言語はまさに「魔法の剣」だったわけです。そして、目的が先にあり、それを達成するための手段として言語があることに注意してください。

 どんな目的を達成するにしても、まずは他者とのコミュニケーションが必要です。「この人たちと話したい!」、という動機と目的があって初めて、語学は始まるのです。著者は「情報を伝えるための言語」と「親しくなるための言語」のうち、後者を重視しています。これは必ずしも実際に対面できる具体的な個人でなくても構いません。「BTSのことをもっと知りたい!」という動機も、「親しくなるための言語」習得の入り口になります。相手のことをもっと知りたい、自分のことを伝えたい、と思うからこそ、語学の探検が可能になるのです。

事務局を覗いてみた

事務局広報担当の池田智洋です。
私の主な仕事内容は、本学への入学希望者に対しての大学概要説明や、一般の方に向けての大学PR活動といった広報活動です。一言で広報活動といっても色々ありますが、中でも大きな割合を占めるのが高校生に対しての「大学概要説明」です。これは観光業界の分野説明から始まり、本学の教育の特色やカリキュラム、在学生の活動状況の紹介、将来の就職などを説明します。昨今では新型コロナウィルスの影響で観光分野に対しての様々な憶測や誤解が生じ、不安になっている高校生や保護者の方も多くいらっしゃいます。そんな方々のために正確かつリアルタイムな情報を届けることが現在最も大切なことだと実感しています。
次に大きな活動内容が大学案内(パンフレット)やメディア、各種媒体、デジタルコンテンツ、ホームページといった外部に向けての情報発信です。近年、スマホさえあれば欲しい情報はほぼ手に入ります。本学でも在学生や教員、関係企業の情報は常に新鮮で、さらにおもしろい内容を発信すべく日々奮闘しています。
復活の兆しが見え始め、これまで以上に変化し続ける観光業界に、観光のエキスパートとしての人材を輩出できる「せとうち観光専門職短期大学」をより多くの皆さんに知っていただければと思います。
(広報課:池田智洋)

2022年1月
屋島のふもと

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