⑥コロナ禍と青春18きっぷに関する一考察 | せとうち観光専門職短期大学|業界最先端の学術と実務を学べる

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観光Web講義


多 昭彦

⑥コロナ禍と青春18きっぷに関する一考察

「青春18きっぷ」ってご存じですか。大抵の方はご存じのはず(だと、私は思っています。)ですが、例え、ご存じなくとも名前でだけはきっと聞いたことがあるでしょう。

 青春18きっぷとは、JRが全国で発行している(普通列車普通車自由席用)乗車券で、普通列車の普通車及び自由席限定の1日乗り放題乗車券です。価格は、12,050円で、1人で5回、または5人で1回(2人で2回、1人で1回なども可能)使用できるので、1回あたり2,410円です。つまり、2,410円以上の料金が係る距離を走破すれば、それだけお得になるのです。私はこれで、何度も東京と奈良を往復しています。その浮いたお金で、途中、浜松で途中下車してうなぎを食べたりもしました。

 私の淡い記憶によれば、これはそもそも、昭和の時代に若者が安価で気楽に旅行しやすいようにとの発想から生まれたもので、18は年齢を表すものでしたが、実際には何歳でも購入することができますので、我々のようなシニア層にも大変人気があります。(細かな利用条件がついていますので、詳細はJRのホームページでご確認ください。)また、青春18きっぷを活用した旅行プランが雑誌などでも紹介されています。

 ただし、問題点と考えることがあります。このきっぷはのんびりと近場で旅行したい人には持って来いなのですが、発売期間及び利用期間が春、夏、冬の休みの期間に限定されているので、どうしても利用者が一時期に集中します。また、秋の行楽シーズン等には利用できません。こんな便利でお得なキップを1年中発行して欲しいと思うのですが、なかなかそうはいかないようです。

 コロナ禍においては、マイクロツーリズムなど居住地の近くを旅行する、なるべく混雑を避けるなどの工夫が必要となり、様々試みられています。また、本日から、緊急事態宣言が4府県に追加され、期間も8月31日までに延長されました。これに伴い全国知事会からは、帰省や都道府県の境界を跨ぐ不要不急の移動は控えて欲しい、との要請がなされていますが、もはや要請だけでは効力を発揮しないとの声もあります。この時期にしか休めないというような、人間が生きていくうえでの必要な休息とリフレッシュの要素が「不要不急」に含まれるとすれば、少々悲しくなりますが、こんな時代だからこそ、混雑をなるべく緩和して、行きたいときに行けるように、青春18きっぷを1年中発行して、人を分散させて欲しいと思うのです。

 実は、私はこの夏も購入したのですが、昨日1回分使用しました。奈良の自宅から単身赴任先の愛知へ戻るためです。昨日はもう夜遅かったので、途中下車もせず、一目散に六畳一間のアパートに帰りましたが、昼間であれば岐阜の関ケ原で降りて、「岐阜関ケ原古戦場記念館」に寄るべきだったと後悔しました。また、途中の京都付近で線路に人が立ち入ったため、列車が13分遅れで米原駅に到着し、名古屋方面への乗り継ぎがうまくゆかず、米原駅に結構人が溜まってしまいました。結局、予定より30分遅れで到着しましたが、この旅には、列車のトラブルが付き物であることも注意点のひとつです。

 聞くところによると、岐阜関ケ原古戦場記念館は、2020年10月にオープンしたばかりの新しい施設で、JR関ヶ原駅から徒歩で10分程のところにあります。関ケ原古戦場の家康最後の陣地跡に建設されたもので、最新技術を駆使した体験型の施設です。グラウンドビジョンやVRアトラクションで関ケ原の戦いを体感し、その後、関連する史跡めぐりに出かけることができます。また、カフェや土産物を扱う商業施設も併設されています。現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入場が予約制となっています。

 おそらく、JR関ヶ原駅で降りて、史跡等を見学して回ろうとすると丸1日(レンタサイクルなどもあるとのこと)かかってしまうので、青春18きっぷの旅であれば、岐阜関ケ原古戦場記念館及び駅周辺だけを見学して、また列車に飛び乗れば、目的地まで余裕でその日のうちにつくことができるのでは。そう思いついたのです。ここで、ナレーションがあるとすれば、「今度は是非実行するぞ!と誓うおっさんであった。」というところでしょうか。

 次回、私が青春18きっぷを使うのは、今週末です。高蔵寺駅から塩尻、高尾を経由して新宿に向けて、景色を楽しみながら、中央本線をひた走る予定です。

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