観光学とは?「好き」を仕事にするための進路ガイド|学べる内容から大学・就職先まで
「観光が好き」
「自分の住む地域を元気にしたい」
そんな素敵な想いを、将来の仕事にどうつなげればいいか悩んでいませんか?
「観光の仕事って、ホテルや旅行会社くらいしか思いつかない…」
と感じている高校生も多いかもしれません。
この記事では、そんなあなたのための「観光学」について、基本から徹底解説します。観光学で具体的に何を学ぶのか、そしてあなたがまだ知らない多様なキャリアパスや、自分に合った進路の見つけ方まで、この記事を読めばすべてわかります。
記事を読み終える頃には、漠然としていた「好き」という気持ちが、未来へのワクワクする目標に変わっているはずです。
そもそも「観光学」とはどんな学問?
「観光学」と聞くと、多くの人が旅行やホテルのことだけを学ぶ学問だとイメージするかもしれません。しかし、実際はもっと奥深く、幅広い分野を扱う魅力的な学問です。
観光学は地域を元気にするための総合的な学問
観光学とは、単に旅行の知識を深めるだけではありません。その本質は、観光という現象を通じて、地域の経済や文化を活性化させ、人々の暮らしを豊かにする方法を探求する学問です。
例えば、ある地域に観光客を呼び込むためにはどうすれば良いでしょうか。その地域の歴史や文化といった「魅力」を発見し、それを体験できるツアーを企画し、SNSで効果的に発信するなど、さまざまな知識やスキルが必要になります。観光学は、こうした地域を元気にするためのアイデアを形にする力を養う学問なのです。
経済学、社会学、歴史学などさまざまな分野からアプローチする
観光は、経済、社会、文化、歴史、地理、環境など、実に多くの要素が複雑に絡み合って成り立っています。そのため、観光学では一つの分野にとらわれず、多角的な視点から観光という現象を分析します。
経済学の視点
観光が地域経済に与える影響(経済効果)や、ホテル・航空会社の経営戦略を学ぶ社会学の視点
観光客と地域住民との関係性や、観光が文化に与える影響を考える歴史学・地理学の視点
観光資源となる歴史的建造物や自然景観の成り立ち、その保全方法を学ぶこのように、幅広い学問分野に触れることで、物事を多角的にとらえる力が身につきます。
なぜ今、観光学が注目されているの?(コロナ禍からの回復と将来性)
世界中を襲ったパンデミックにより、観光業界は大きな打撃を受けました。しかし、その後の回復は目覚ましく、国内外からの旅行者は急速に戻りつつあります。観光庁の発表によると、訪日外国人旅行者数は回復傾向にあり、観光業界は再び大きな成長期を迎えています。
このような状況の中、ただ観光客の数を増やすだけでなく、地域の文化や環境を守りながら持続可能な観光を実現する「サステナブル・ツーリズム」の考え方が重要視されるようになりました。新しい時代の観光を創り出す専門家として、観光学を学んだ人材への期待はますます高まっています。
観光学では具体的に何を学ぶの?
観光学の学びは、基礎的な理論から、将来の仕事に直結する専門的なスキルまで多岐にわたります。大学や専門学校によってカリキュラムは異なりますが、ここでは主な学習分野と専門科目を紹介します。
観光学の主な学習分野
観光学の土台となる、基本的な考え方や知識を学びます。
観光資源論
地域の歴史的建造物、美しい自然、伝統文化、特産品など、観光の魅力となる「資源」をどのように発見し、価値を高め、活用していくかを学びます。
観光行動論
人々はなぜ旅に出るのか、どのような情報を参考に行き先を決めるのかなど、観光客の心理や行動パターンを分析し、ニーズを理解する方法を学びます。
観光政策論
国や地方自治体が、観光を振興するためにどのような戦略や計画を立てているのかを学びます。観光関連の法律や制度についても理解を深めます。
ホスピタリティ論
「おもてなし」の心を科学的に分析し、顧客満足度を高めるための理論と実践的なスキルを学びます。ホテルや航空業界を志す人にはとくに重要な分野です。
将来に直結する専門科目
より実践的で、特定の職業スキルにつながる科目を学びます。
マーケティング論
地域の魅力や旅行商品を、ターゲット顧客に効果的に伝えるための宣伝・広報戦略や、魅力的な観光プランの作り方を学びます。
経営学
ホテル、旅館、旅行会社、テーマパークなどの観光事業を安定的に運営していくための組織づくりや財務管理の方法を学びます。
データ分析
アンケート調査やSNSの投稿など、さまざまなデータから顧客のニーズやトレンドを正確に読み解き、新しいサービスの開発に活かす手法を学びます。
語学
英語はもちろんのこと、中国語や韓国語など、世界中の人々と円滑にコミュニケーションをとるための語学力を磨きます。異文化理解も深めます。
観光学を活かせる仕事って?ホテルや旅行会社だけじゃない多様なキャリア
観光学で得た知識やスキルは、皆さんが想像する以上に幅広い分野で活かすことができます。ここでは、代表的なキャリアパスをいくつか紹介します。
旅を創り、届ける仕事
人々の「旅に行きたい」という想いを形にし、忘れられない体験を提供する仕事です。企画力や提案力が求められます。
ツアーコンダクター
国内外のツアーに同行し、参加者が安全で快適な旅を楽しめるようサポートします。旅先での感動を共有できる、やりがいの大きな仕事です。
旅行会社スタッフ(カウンターセールス、企画職)
お客様の希望に合った旅行プランを提案・販売したり、新しいツアー商品を開発したりします。人々の夢を叶えるお手伝いができる魅力があります。
観光プランナー
特定の地域やテーマに特化した、ユニークな旅行体験を企画します。地域の隠れた魅力を掘り起こし、新しい観光の流れを創り出すクリエイティブな仕事です。
人々を迎え、もてなす仕事
旅先での出会いを演出し、快適な時間と空間を提供する仕事です。高いコミュニケーション能力と「おもてなし」の心が不可欠です。
ホテル・旅館スタッフ
フロント、コンシェルジュ、レストランなど、さまざまな部署でお客様をもてなします。お客様からの「ありがとう」が直接聞ける、喜びの多い仕事です。
グランドスタッフ・キャビンアテンデント
空港や航空機内で、お客様の空の旅を支えます。世界の玄関口で働き、多くの人々の旅の始まりと終わりに関わることができます。
テーマパーク・レジャー施設スタッフ
アトラクションの運営やショーの開催を通じて、来場者に夢と感動を提供します。人々を笑顔にすることが好きな人に向いています。
地域の魅力を発信し、盛り上げる仕事
観光を通じて、地域そのものを活性化させる仕事です。地域への深い愛情と、ビジネスの視点を両立させることが求められます。
DMO(観光地域づくり法人)職員
地域の観光協会や自治体、民間企業と連携し、地域全体の観光戦略を立てて実行する専門組織のスタッフです。地域の未来を創るダイナミックな仕事です。
観光コンサルタント
観光施設や自治体に対して、経営改善や集客力アップのための専門的なアドバイスを行います。幅広い知識と分析力が求められます。
イベントプロデューサー
地域のお祭りや食のイベントなど、多くの人を集める魅力的なイベントを企画・運営します。地域に賑わいを創り出すことができます。
観光関連の公務員
都道府県庁や市役所などで、地域の観光振興に関する政策の立案や事業の実施を担当します。より大きな視点で地域貢献ができます。
観光学と関連する主な資格
観光業界で働く上で、自身のスキルを証明し、キャリアアップにつながる資格もたくさんあります。
- 国内旅行業務取扱管理者/総合旅行業務取扱管理者
- TOEIC®、実用英語技能検定
- ホテルビジネス実務検定
観光学に向いているのはどんな人?3つの特徴
観光学は、特定のスキルや知識よりも、好奇心や人への関心が大切な学問です。ここでは、観光学に向いている人の3つの特徴を紹介します。
地域の文化や歴史に好奇心旺盛な人
「この街はなぜこんな形をしているんだろう?」「このお祭りにはどんな意味があるんだろう?」など、地域の文化や歴史の背景にあるストーリーに興味を持てる人は、観光学の学びを心から楽しむことができます。その好奇心が、地域の新たな魅力を発見する力につながります。
人とコミュニケーションをとるのが好きな人
観光の仕事は、お客様、地域の人々、職場の仲間など、常に多くの人との関わりの中にあります。人の話を聞くのが好き、人を喜ばせるのが好き、チームで何かを成し遂げるのが好きという人は、観光業界で大いに活躍できるでしょう。
新しい企画やアイデアを考えるのが得意な人
「もっとこうしたら面白くなるのに」「こんなイベントがあったら絶対に行くのに」など、普段から新しいことや楽しいことを考えるのが好きな人は、観光学に向いています。その柔軟な発想力が、今までにない魅力的な観光プランやサービスを生み出す原動力となります。
観光学はどこで学べる?大学・短大・専門学校の違いを徹底比較
観光学を学べる教育機関には、大きく分けて「4年制大学」「専門学校」「専門職短期大学」の3つの選択肢があります。それぞれに特徴があるため、自分の目標に合った場所を選ぶことが大切です。
学び方の特徴を比較!あなたに合うのはどれ?
まずは、それぞれの違いを表で見てみましょう。
理論と研究が中心の「4年制大学」
4年制大学では、観光学を学問として深く掘り下げていきます。観光に関する幅広い理論を体系的に学び、卒業論文などで自らテーマを設定して研究するのが特徴です。じっくりと時間をかけて、物事を論理的に考える力や分析力を養いたい人に向いています。
特定のスキル習得に特化した「専門学校」
専門学校は、ホテルスタッフ、ツアーコンダクター、ブライダルプランナーなど、特定の職業に就くための実践的なスキルを短期間で集中的に学ぶ場所です。実習授業が多く、業界で即戦力として活躍したいという明確な目標がある人におすすめです。
理論と実践を両立する「専門職短期大学」
専門職短期大学は、4年制大学の「理論」と専門学校の「実践」の“良いとこ取り”をした新しいタイプの学校です。観光業界の第一線で活躍していた実務家教員から、ビジネスの基礎となる理論と最新の実践スキルをバランス良く学べるのが大きな特徴です。
また、カリキュラムには数ヶ月にわたる長期間の企業実習が組み込まれていることが多く、在学中からリアルな仕事の現場を体験できます。卒業時には「短期大学士(専門職)」という公的な学位が授与され、これは「短大卒」の学歴として扱われるため、就職活動の選択肢が広がる点も魅力です。
失敗しない学校選びの3つのポイント
自分にぴったりの進路を見つけるために、学校選びでとくにチェックしてほしい3つのポイントを紹介します。
カリキュラムに「実践的な学び」は含まれているか?
観光学は、教室で学ぶ知識と同じくらい、現場での経験が重要です。企業での長期実習(インターンシップ)や、地域に出て調査を行うフィールドワークなど、実践的なプログラムが充実しているかを確認しましょう。実際の仕事を体験することで、自分の適性を見極めたり、将来の目標がより明確になったりします。
自分が学びたい専門分野の教員はいるか?
学校のウェブサイトなどで、教員のプロフィールをチェックしてみましょう。自分が興味のある分野(例えば、ホテル経営や地域活性化など)で豊富な実務経験を持つ先生がいるかどうかは重要なポイントです。業界の第一線で活躍してきた先生からは、教科書には載っていない貴重な話を聞くことができます。
オープンキャンパスで学校の雰囲気や学生の様子を確認する
パンフレットやウェブサイトだけではわからない、学校のリアルな雰囲気を知るために、ぜひオープンキャンパスに参加しましょう。模擬授業を体験したり、在学生の先輩に直接質問したりすることで、入学後の学生生活を具体的にイメージできます。自分に合う学校かどうか、肌で感じることが大切です。
観光学に関するよくある質問(Q&A)
観光学は、歴史や文化、社会などを扱うため、文系の学生が多く学びます。しかし、最近では観光客の動向をデータで分析したり、IT技術を活用した観光サービスを開発したりする場面も増えており、数学や情報科学といった理系的な素養を持つ人も活躍できる分野です。
人々の旅行への意欲は高く、とくに日本への関心は世界的に高まっています。今後は、AIなどの新しい技術を取り入れたり、環境に配慮した持続可能な観光を推進したりと、業界はさらに進化していくでしょう。変化に対応できる新しい発想を持った人材が求められています。
学費は、国公立大学、私立大学、専門学校など、どのタイプの学校を選ぶかによって変わります。一般的に、国公立大学が最も費用を抑えられ、次いで専門学校や短期大学、私立の4年制大学となる傾向があります。奨学金制度や特待生制度を用意している学校も多いので、各学校のウェブサイトなどで確認してみましょう。
まとめ
この記事では、観光学が単なる旅行の学問ではなく、経済や文化、社会など幅広い視点から地域を元気にするための、奥深く実践的な学問であることを解説してきました。
ホテルや旅行会社はもちろん、DMOや観光コンサルタント、公務員など、その学びを活かせるキャリアは多岐にわたります。
「観光が好き」というあなたの気持ちは、地域を元気にし、人々を笑顔にする大きな力になります。この記事で紹介した多様なキャリアや学びの選択肢の中から、あなたにぴったりの道を見つけて、夢への第一歩を踏み出してください。
もっと詳しく知りたい方へ。まずは気になる学校の資料請求やオープンキャンパスに参加して、リアルな情報を集めてみましょう。
観光地域創生クラス
3年制 観光振興学科 2年生の選択