せとうち観光専門職短期大学

観光Web講義


多 昭彦

⑬夢のつづき「Society5.0」

 こんにちは、彦兵衛です。やっと江戸時代から戻りました。前回、お奉行様にSDGsについていろいろと説明をしてきましたが、ちょっと忘れ物をしてきました。何かというと、それは「Society5.0」です。「SDGs」と関連はあるのに、その位置づけが良くわからなかったので、いろいろと調べていたのですが、それを話してくるのを忘れました。

 ここで掲載すれば、お奉行も見てくださるでしょうから、本日は「Society5.0」について説明したいと思います。「Society5.0」という言葉はよく聞きと思いますが、具体的にはどういうことなのでしょうか。順を追って説明します。

 まず、政府は科学技術基本法に基づき、1995年度から科学技術基本計画を定めています。10年先を見通した5年間の科学技術の振興に関する総合的な計画のことで、これまでに、第1次~第6次まで策定されています。

 第5次基本計画は(2016年度~2021年度)は、総合科学技術・イノベーション会議として初めての計画であり「科学技術イノベーション技術」を協力に推進するといことで、これまでの20年間を振り返り、その反省を踏まえて、エネルギー、少子高齢化、地域の疲弊、自然災害、安全保障環境の変化、地球規模の課題の深刻化などの国内外の画題に対応するための科学技術イノベーションの推進方策について述べています。また、この基本計画を、政府、学会、産業界、国民といった幅広い関係者が共に行動する計画として位置づけ、我が国を「世界で最もイノベーションに適した国」へと導くことも目標としています。

 その中で【目指すべき国の姿】として、以下の4点が挙げられています。

①持続的な成長と地域社会の自律的発展

②国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現

③地球規模課題への対応と世界の発展への貢献

④知の資産の持続的創出

 また、①先見性と戦略性及び多様性と柔軟性を重視すること。②あらゆる主体が国際的に開かれたイノベーションシステムの中で、競争、強調し各主体の持つ力を最大限発揮できる仕組みを、人文社会科学、自然科学のあらゆる分野の参画の下で構築することを【基本方針】として、【第5次科学技術基本計画の4本柱】を以下のとおり定めています。この4本柱の政策や取組により、【目指すべき国の姿】を実現したいということです。

①未来の産業創造と社会変革

②経済・社会的な課題への対応

③基盤的な力の強化

④人材、知、資金の好循環システムの構築

 このうち上記①の具体的な取り組みとして、【未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組】が以下のとおり述べられています。

①未来に果敢に挑戦する研究開発と人材の強化

②世界に先駆けた「超スマート社会」の実現

③「超スマート社会」における競争力向上と基盤技術の戦略的強化

 あれ?まだ、Society5.0がでてきませんが、どうしたのでしょうか?もう少しでたどり着きます。そうです。「超スマート社会」がひとつのキーワードです。

 本基本計画では【超スマート社会】は、「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適にくらすことのできる社会」と定義されています。

 じゃあSociety5.0とはいったいなんでしょうか。そう【Society5.0】とは、・・・

 サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」を未来の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組を「Society5.0」と呼んでいます。すなわち、「超スマート社会」の実現に向けて、政府、学会、産業界、国民といった幅広い関係者が様々な取組をしようということです。ちなみに、1.0、2.0、3.0、4.0はそれぞれどのような社会だったのでしょうか?

 1.0は、狩猟社会、2.0は農耕社会、3.0は工業社会、4.0は情報社会と言われています。

 確かに、SDGsに似ていますよね。その違いや位置づけに気づかれたでしょうか。SDGsは国連による世界の目標でした。また、合意されたのは、2015年でした。その翌年1月に閣議決定された第5次科学技術基本計画は、日本政府による日本の目標や取組を定めたものですが、内容的にも共感すべきものであるとともに、【目指すべき国の姿】に、③地球規模課題への対応と世界の発展への貢献とあることから、その後は、方向性として軌を一にするものと捉え、それぞれの取組が重複し、連携し、調和しています。

 それから、5年が過ぎました。2021年3月に第6次科学技術・イノベーション基本計画が閣議決定され、この5年間の国内外の情勢の変化や新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を踏まえて、「Society5.0」をより具体的に推進し、さらにその実現をめざすことにしています。

 観光の面からもいろいろと考えられることがあるのではないでしょうか?あれ、今日も文化財が出てこなかったですね。

 ど~もすみません。それも江戸時代に落としてきました。

← この教員の講義一覧へ戻る